阿部克巳は、海軍経理学校に学んだのち、一九四四年に主計官として駆逐艦に乗り込んだ。 主計官とは、食材管理から給与の袋詰めまで一手に担当した事務方であって、戦闘要員ではないが、それでも生と死の境に直面する ◆作品貫く原風景を探り問いつづける書境界や無縁の場を一貫して論じつづけてきた赤坂憲雄は、すでに『ナウシカ考 風の谷の黙示録』(岩波書店)で『風の谷のナウシカ』をひとつの思想として深く読み解いてみせたが ◆舞台が掘り起こす負の記憶劇評家として私は劇場で多くの時間を過ごしてきた。 熱情や復讐(ふくしゅう)や殺人や謀略の舞台を観(み)てきた。 絨毯(じゅうたん)や緞帳(どんちょう)の血のような赤、額縁舞台を装